過去作探訪3「ロード・トゥ・パーディション」

初めて見た。なかなか面白かったな。今度からサム・メンデスのことを家族問題研究家と呼ぼう。「アメリカン・ビューティー」を見たときは本当に救われた気持ちになった。肩の力が抜けた。「どこの家もいろいろあるんじゃん。」と思った。私も若かったからどうしようもなくて、家にいるのが苦しかったんだよな。
この方は「スカイフォール」と「スペクター」の監督でもある。

このロード~も家族もの。特に親子と兄弟の話。
親子は合計3組。血縁の親子が2組と、仕事上の義理親子が1組。
兄弟は2組。マイケル&ピーターの実の兄弟と、コナー&マイクの義兄弟が対になってる。
マイケルって、マイクに似てないところもある。強がったり、躍りに参加しなかったりするのは似てるか。けど親よりはけっこうオープンなタイプじゃないか。怖いとか寂しいとかちゃんと言えたんだから。あの年齢になっても。あ、旅の中で変わったのか。
クレイグ。出番はかなりある。コナーという脇役で悪役。概ねろくでなしに描かれている。だけど、後になってもそこまで憎みきれない。最初のタバコのシーンとか、ピーターにいつも笑顔なことを指摘されるシーンとか、効いてくる。コナーにもこれまでの人生でいろいろあったんでしょう、と思わせてくれる。かつては擦れてないときもあったでしょうと。
自分よりマイクのほうが父親とより心が通じてると感じてる。自分よりマイクの方を好きなのかと。それで寂しくなっちゃうという。マイケルと全く同じ悩み。「スカイフォール」のシルヴァとボンドに似てる。ここではクレイグがシルヴァ側だけど。

人の苦しみっていろいろだよねって感じ。こっそり苦しんでる人がいっぱい。コナーは、一人のときはあんな感じだけど、人前では人前なりの振る舞いをする。強がりもあるし、義理も分からないわけではないし。
マイケルは、思いきって問題に立ち向かったから勇者だな。

クレイグを良いなと思ったのが、なんとも決めつけられないような表情をするところ。どうとでも取れるような微笑み。複雑さがあるってことなんだけど、下手すると簡単に壊れそうなところを壊さない。その表現。たまんない。
長いブロンドが夜の暗がりで光ってきれい。声も低くて良い。ハンサム。
けっきょくハンサムだった。
まあ、この作品の出演者はうまい人しかいなかったけど。みんなが達人。「トゥーム・レイダー」と違って。