期末賞与に差をつけられて、とある事務職の社員が怒った。

期末賞与は、本来上級職の社員にしか出ない。
規定に書いてある。
しかし、今年は少し余剰が出たらしく、事務職の社員にも出ることになった。
ただし、金額はほんのおこづかい程度。

それを知ったある事務職の女の人がこう言った。
「経営陣はケチだ。」
「上級職の人たちは何ヵ月分ももらえるのに、うちら事務職はほんのちょっとだけ。なんでこんなに差をつけるのか。」
「経営陣は、うちらみたいな下っ端のことはその程度にしか思ってないんだなと思った。悲しかった。」
「もうこれからは、私だってその程度の仕事しかしない。その程度としか思ってくれてないなら。」

それを聞いたとき私は、
「人の心って難しすぎ!」
と思った。

もともとゼロなのが、ちょっとでももらえるんだから得でしかないはず。
だけど、もらえるお金に大幅な差をつけられると、人は怒るみたいだな。
上級職と事務職で、もともと仕事の負荷が全く違う前提を、怒りで忘れちゃったみたい。
あ、負荷じゃないや、無限定受け入れてるってだけか。
やってる業務は、実はあんまり変わらなかったりするもんな。
だから余計にってのはあるか。
そして普段の事務職のお給料、まーあ安い安い。
そのたまってる鬱憤もあるのか。
その女の人は、私から見たらけっこう真面目と言うか、堅いと言うか、お金のためにいつも頑張ってる。
積極的に残業したりして。

そう、その人はもちろん、お金が欲しいことは欲しい人。
いつも過剰なほど節約してるし、お金を大切にしてる。

それもそうなんだけど、「大事にされたい」という欲が満たされないとダメなんだな。

人間心理の勉強になったぞ。
ただあまりにも長い間文句言ってるから、最後は彼女の態度にかなり閉口した。
私も事務職だが。